職業作家への道

自分の文章で生活できるなんて素敵。普通の会社員が全力で小説家を目指します

北陸への出張旅③

 

 

前回からの続きです。

 

 

towriter.hatenablog.com

 

 

岩瀬浜には森邸というかつて船の貿易で一世を風靡した人の邸宅があるらしい

 

 

僕はそういう古い家に目がないのだ

 

 

岩瀬浜に来たのは何か目的があったわけではない

 

 

太平洋はよく見ているが、日本海をあまり見たことがなかったから単に行きたかった

 

 

終点の岩瀬浜で降りて周りを見ると、僕と同じくらいの年齢の男性ただ一人だった

 

 

彼はさきへさきへと海岸の方へ向かっていって、僕一人が取り残された

 

 

森邸に行こうとは思っていたが、どういうルートで行くかは考えていなかった

 

 

とりあえず日本海がすぐに見えそうなルートで歩き始めることにした

 

 

あんまり人はいないし、大きな一軒家ばかりで人口密度は低い

 

 

車は少しだけ通るが、人はほとんど歩いていない

 

 

しばらく歩いていると、かなり大きいお土産施設があった

 

 

だが、近づけば近づくほど、人気がない

 

 

ちょっと店内に入ってみると、土産物のレジに店員のおばちゃんが二人と船乗り場のチケット屋としておじいさんが一人座っているだけだった

 

 

それ以外に人は誰もいなかった

 

 

僕はまさしく逃げるようにすぐさま出ていった

 

 

またしばらく歩いていると、後ろから騒がしい声がする

 

 

富山駅北口の電車で見た新郎新婦の軍団が僕についてきているではないか

 

 

どこまで行っても彼らは僕の後ろを歩いてぞろぞろとついてくる

 

 

もちろん、彼らの狙いは僕ではない

 

 

たまたま行き先が一緒なだけだろう

 

 

僕は気にせずに日本海を目指して歩いた

 

 

そうこうしているうちに日本海がわずかばかり見えた

 

 

その後、展望台を目指したが、道がよく分からなくなって、元きた道を戻ってみると、例の一行は完全にいなくなっていて、街はまたしんみりとして何の音もなくなった

 

 

森邸に向かって歩いていると、少し賑わいがある通りが現れた

 

 

一つの立派な店に多くの人家がある

 

 

何かと思えば松月という立派な割烹屋だった

 

 

ひっそりとした街に突然の人気店が現れたから、僕は思わずグーグルマップで調べてしまった

 

 

4.1となかなかのスコアである

 

 

店をちらっと見てみると、中には富山駅から電車で来ている例の結婚式御一行様がいるではないか

 

 

彼らの目的はここで宴会をすることだったらしい

 

 

はぐれていたのにまた再会して、なんと奇遇なことか

 

 

これも何かの縁だし、ご結婚されたお二人には幸ある未来があることを祈っている

 

 

彼らに別れを告げて、またしばらく歩いていると展望台が見えた

 

 

展望台と言っても少し変わった形で逆三角形のような建物になっている

 

 

中に入るとエレベーターはないことは明らかで、ほぼ階段だけだと分かった

 

 

やむなく階段に足をかける

 

 

上に着く頃にはぜえぜえと肩で息をしていた

 

 

だが、ここから見る景色は格別であった

 

 

ようやくはっきりと日本海を見ることができた

 

 

鳥取砂丘に行った時をのぞいて前にいつ見たかほぼ記憶がない

 

 

360度にわたって景色が見える

 

 

森邸らしき瓦屋根の町並みも一望できる

 

 

途中まで貸し切りの空間だったが、自転車の服を来た夫婦がやってきた

 

 

こうやって二人でいろんなところを自転車でまわっているのだろうか

 

 

展望台をおりると目の前に巨大な岩の門がある

 

 

なかなか珍しいものではなかろうか

 

 

そして森邸近辺に到着すると確かに昔の町並みが並んでいた

 

 

富山はまだ観光地化されていない

 

 

だから人の姿があまりない

 

 

日曜にもかかわらず、人の姿はまばらだった

 

 

いろんな店があるようだが、中の様子が外からはわからないし、入っても買わないのは申し訳ないからどこにも入らないことにした

 

 

 

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