自選小説
「バンガロォー、バンガロォー」 ヌンがそう言えば、旅行者達はとりあえずこちらを向いてくれる すぐに目を逸らしたって、また戻ってくることが多い 諦めずに声を張り上げることが肝心だ 客が通り過ぎた後にも、ヌンの声は彼らの耳に残っている 他のバンガロ…
『ダンディー2』 その店で働こうと思ったのは、お店から海が見えるからだった。 もともと、私が通っていた女子校には毎日バスで行っていたから、その時からこのお店のことは知っていた。 朝に座れることは滅多にないから、私は手すりにつかまるしかなかった…
『ダンディー』 そこは、海沿いにある観光地だった。 海岸沿いの道路には二階建ての建物が並んでいて、一階部分は様々な店舗になっていた。 マリンスポーツ、イタリアンレストラン、コンビニエンスストア、釣具屋、居酒屋、結婚式場、あらゆる店がそろってい…