あけましておめでとうございます
本年もよろしくお願いいたします
ところで、本当に久しぶりに紅白歌合戦を見ながら過ごしました
知っている曲はほとんどありませんでした
ですが、それは昔からそれほど変わらないかもしれません
というのも、昔も後半の演歌はほぼ知らない曲ばかりだったからです
翻って今は若い人たちの曲ばかりで、ほとんど知らなくなってしまいました
そういう意味では、どの世代も知らない歌手(アーティスト?)が多すぎて、フラストがたまるのが紅白歌合戦なのかもしれません
それでも、私は今年どの曲もきちんと聞いてみることにしてみました
というのも、私自身の知っている音楽と、昨今の若者で流行っている音楽との乖離が、もう交わることがない位に激しくなっているような気がしたからです
おそらく、今の若者が愛する音楽も時代を象徴していてそれなりに理解できるもののはずで、それを私が理解できないようであれば、もう感覚としては古びている証拠のはずです
それを私は自ら理解する必要があるように思いました
そして、私は気を引き締めて紅白歌合戦を見ることになったのです
もちろん、若い人たちばかりの曲ではなく、私より年配の人の曲もありましたし、私が同時代で聞いた曲もありました
その中で、私の同世代と現代の大きな違いに一つ気が付きました
それは、主題が”恋愛”から”自分自身”に変わってきているということでした
私の同世代の売れている曲はほとんど恋愛を歌ったものでした
しかも、激しく相手を思う気持ちを歌っていたように思います
ですが、現代でそんな曲はほとんどありません
どちらかというと、自分の感情を伝えるもので、しかもそれは恋愛というよりは、ベクトルが自分に向かっています
そこに恋人だとか、愛する人という文脈はありません
むしろ、そういうものが登場する歌というのは時代遅れの感覚なのかもしれません
私も同世代に気に入っている曲がいくつかあるので、いろいろな思いもあるのですが、ある意味においては、ほっとする気持ちもありました
それは、ようやく愛とか恋とか家族とか、そういう一辺倒だった確定路線を超越して、新しい境地にたどり着こうとしているな、という感心です
江戸時代とか明治時代のようなお家優先の時代から、自由恋愛という大正、昭和。平成の恋愛至上主義へと流れてきました
そして、いよいよ令和に新時代を迎えたという、壁を越えつつあるという感覚です
正直に申し上げて、紅白歌合戦で最近の曲の良さというものを私にはほとんど理解できませんでした
ですが、少なくとも時代は恋愛至上主義のフェーズは終わりを迎えていて、別の良さというものが発見されようとしつつあると感じました
なぜ恋愛至上主義からの脱却を私が歓迎しているかといえば、この恋愛のようなものが最終的にお金持ちが幸福という価値観に帰結しているように感じていたからです
当時の恋というのは愛につながっていて、それは結婚に結び付けられるものでした
昔のCMやドラマなどを見れば、それは一目瞭然で、そういう話しかありませんでした
恋に落ちるということが、深い愛情につながり、それはすなわち結婚のみを意味していて、それは家族で、家族に笑顔をもたらすものは経済力でした
自由な形で知り合った男女は偶発的な恋に落ち、相手を長く思いやりたいという気持ちが自然な形で結婚となり、子供は二人くらい生まれ、それなりの家を買い、年に一度ずつくらいは国内と海外旅行をして、子供たちはMARCH以上の大学に行き、大企業に就職し、子供たちも家庭を持ち、たまに孫を連れて帰ってくる
そういうものが人間の究極的な幸福だと、20年くらい前の大半の人々は本当に心の底から信じていたのです
もちろん、意を唱える方はいらっしゃると思いますが、少なくとも私にはそう見えたものです
ですが、その戦いは男女共に疲弊を生みます
男性は経済力を手にしないと自信を喪失しますし、女性はそういう男をつかまえないと不幸な人生だと認定されていました
そして現代では、ようやく恋愛からの経済力至上主義とは異なる価値を見い出そうとしている、そんな気したのです
今、日本は先進国の中で幸福度が極端に低いと言われています
その責任の一端は、あまりに極端な形で恋愛至上主義がはびこってしまったことがあると考えます
それを助長してしまったのは、昭和後期から平成の数十年の間、無敵のように君臨してしまったラブソングの数々だと言っても過言ではないかもしれません
現代の曲には、「恋する気持ち」とか「愛こそ全て」とか「君の事しか」のようなニュアンスはほとんどなかったように思います
かつて平成あたりのミリオンヒットの曲にはそういうニュアンスのものしかありませんでした
十台の頃から、そんな曲ばかりが流れていたら、恋愛をせざるを得ず結婚をせざるをえず、前述のパターンに陥ってしまうのも無理はありません
私は恋愛を否定しているのではありません
恋愛というのは素晴らしいものですが、それは数あるものの中の単に一つの煌めきであり、それが誰にとってもナンバーワンであるはずだ、という押し付けに異を唱えたのみです
この本を読みたくなって買おうと思ったのですが、なんと絶版でした。電子書籍では扱われております。かつて、古本屋でよく見たのでいつでも買えると思っていましたが、そうでもないようです。本というのは、いつの間にかひっそりと消えているものなんですね・・・