職業作家への道

自分の文章で生活できるなんて素敵。普通の会社員が全力で小説家を目指します

『予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』ダン アリエリー(後編)

 

 

さて、またまた続きです

 

ちなみに6章はかなり性的な実験なので、今回は省きますがきわめて興味深い内容でした

 

性的なことというよりは、人というのはやはり興奮状態だと冷静でまともな判断ができないということなのかもしれません

 

【7章】

教授が学生に三つのレポートを提出させます。その時の締切日について、下記のようにグループ分けしました。授業は10月1日-12月31日という想定です

 

①学生がそれぞれ自分で締切を事前にセットする(例えば、レポートAは10/20、レポートBは11/10、レポートCは12/5のようにして事前提出)

②締切はなし。早く出しても遅く出しても評価は変わらない

③三つのレポートの締め切りをそれぞれ、10月末、11月末、12月末にする

*ただし、①も②も③も提出が遅れた場合は一日遅れるごとに成績を1パーセント下げる。早く出してもよい評価をするわけではない

 

さて、①②③のどのグループの成績が最も良かったでしょうか、というのが実験です

 

答えは、最も成績が悪かったのは②、次が①、最も良かったのが③という結果だったとのことです

 

この実験については、あまり詳しいデータがないので、何とも言えない部分があるのですが、結果を正しいと信じると、「人はある程度しばらないと問題を先送りにしてしまう」ということが言えるようです

 

例えば、学校にしても親にしても、子供の自主性を重んじるというテーマを抱えている人がいると思いますが、本当に野放しにしたらどんどん落ちこぼれていく可能性が高そうです

 

もちろん、ものすごく賢い人が集まっている学校であれば、何もしなくても勝手に伸びていくという例はあるのかもしれませんが、締切りに関して言えば、明確にしてそれを守らせるということが必要なのかもしれません

 

【8章】

ものすごくレアなバスケットボール観戦のチケットがあたった学生がいます。一方で、とてつもなく欲しかったのに抽選で外れてしまった学生がいます。前者はいくらならチケットを売るでしょうか。そして、後者はいくらならチケットを買うでしょうか

 

結果はこうなりました

 

・チケットが当たった学生=>24万円以上じゃないと売らない

・チケットに落選した学生=>2万円までなら出す

 

この実験は何人もに行ったようですが、買う側が支払ってもいい、という金額でチケットを売ってもいい、という学生はたった一人もいなかったとのことです

 

そもそも抽選を行う前は、どちらの学生もめちゃくちゃほしかったわけです(おそらく同じくらいの価値をみんな感じていたでしょう)

 

にもかかわらず、手にした人と手にしていない人で、金銭的な価値の差異は大きく開いてしまいました

 

人というのは、自分が所有しているものは無意識のうちに価値を上げてしまいがちのようです

 

この本では、その中でも、チケットを入手した人に問題点を見い出します

 

チケットを入手した人は、自分がチケットを手放すことで、バスケットボール観戦を見ずに興奮体験を失うことしか見えていません

 

そのチケットを売って入手したおかげで得る品物だったり別の体験を失うことについては盲目的だと言う批判です

 

これはなるほどと思わせることがあります

 

何かを失うことで別のものを得た経験は誰しもあると思います

 

それがまた想定以上の素晴らしい結果に結びつくこともあるでしょうが、チケットを持っているとどうしてもそれが極上のものに見えてしまうのかもしれません

 

さて、本書のご紹介はここまでです

 

冒頭では15章あると申し上げたわりに、前半部分しか紹介していないので、何か変だなって思われる方もいるかもしれません

 

確かにその通りで、興味深かったりデータ的に詳しいものは前半に寄っています

 

とはいえ、ここまでで興味をお持ちになられた方でしたら、後半も読む価値は十分にあります

 

 

長々とお付き合いいただいてしまいました。こういう本を読み過ぎて、人生をあまりテクニックに走るというのもどうかとは思いますが、理論を知った上でノイズを取り除いた上で、自分が何を取捨選択するかを考えるのも重要かもしれません

お時間あれば楽しみながら読んでみてください

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