職業作家への道

自分の文章で生活できるなんて素敵。普通の会社員が全力で小説家を目指します

『予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』ダン アリエリー(前編)

 

 

今回ご紹介する本は、いささかネタバレになります

 

ですので、今読んでいる方、これから読もうとしている方、今後読む可能性がある方は、ご注意いただければと思います

 

この本については、タイトル通りなのですが、いくつかの仮定から実験をして、「合理的に考えたら本来こうするはずなのに、人間って異なる行為をしちゃうんだよね」という話の展開になります

 

全部で15章ありますので、私が面白いと思った章をご紹介させていただきます

 

【1章】

 

下記の場合、あなたはどれを買いますか?ある雑誌の年間購読料です

 

①59ドル:ウェブにて毎月(一年間)読むことができる

②125ドル:本の冊子が毎月(一年間)届く

③125ドル:ウェブでも見れるし、本の冊子も毎月届く(毎月、一年間)

 

作者はMITの教授なのですが、学生たちにこういった調査をします

 

学生たちはどれを選択したでしょうか

 

①16人、②0人、③84人

 

まあ、分からないでもないです。この選択肢を見ると③を選びたくなります

 

そして、別のグループには同じような下記の質問をします

 

①59ドル:ウェブにて毎月(一年間)読むことができる

③125ドル:ウェブでも見れるし、本の冊子も毎月届く(毎月、一年間)

 

要するに前の質問から②をのぞいた質問です。この場合、学生はどういう回答をしたでしょうか

 

①68人、③32人

 

この結果で何が分かるかといえば、おとりの選択肢があれば、人は自分が何を欲しているのか判断を誤ってしまうということです

 

最初の質問は③を強烈にお得さ感じさせるので人はそっちに誘導されやすいです

 

一方で二つ目の質問は簡潔なので人は自分が何を欲しているか明確になり、比較的冷静な判断をすることができます

 

もちろんケースバイケースなのですが、紙とWeb両方必要な人はそれほど多くないのに、お得と思われるオプションがついていると、誤った判断をしてしまうということです

 

では、どのような対策をすればいいかといえば、「本当に自分が必要としているのは何かを考える」ということのようです

 

行動経済学というのは、いわゆるマーケティングに絡んでくるのだということが分かります

 

(無駄なお買い物をしないように注意しましょう・・・)

 

【2章】

 

あなたの社会保障の下二桁の番号を最初に書いてください。その後、下記の製品群にいくらなら払うか、それぞれに入札の値段をつけてください

 

・ワイヤレスマウス

・ワイヤレスキーボード

・デザイン関係の本

ゴディバのチョコレート

・1998年のよいワイン

※上記は分かりやすいようにちょっと品物名を変えています

 

さて、この調査で何が分かるのか・・・。これは私にとって驚異的なものでした

 

なんと、最初に書いた社会保障の下二桁の数字が重要になっているのです!

 

社会保障の下二桁が1ー20だったグループと、下二桁が80-99だったグループを比較すると、後者(80-99)の人たちの方が高額で入札したとのことです

 

キーボードに関して言うと、1-20だったグループの平均が16ドルだったのに対して、80-99だったグループは56ドルだったそうです

 

この章は主に物の価値はどうやって決まるかというのが主題なのですが、非常に相対的なもので、どんなものでも基準値(本書ではアンカーと呼んでいる)は結構適当に決まっているということになります

 

そして、最初の決断だとか基準値のようなものは、モノに限らずかなり長いこと引きずってしまうということのようです

 

例えば、ひなどりは最初に見た生き物を親だと思って一生ついていくという話がありますが、人間にしても同じという説を本書は唱えます

 

スタバなども、「この快適な椅子に座り、高貴な気分を味わえて、優越感にひたることができるんだから、このコーヒー代は高くない」という判断を人々はしています

 

最初にその考えを基準にしてしまえば、本当に妥当か分からないのに後から修正することは難しい、ということになります

 

確かにそうですね。結婚、就職、趣味、通勤経路、好きなメーカーなどなど

 

最初にたまたま規定してしまったものを、(それが不合理だとしても)ずっと続けてしまうという習性が私たちにはあるようです

 

ちょっと長くなってしまったので、また次回に続きます

 

 

キンドル版もあります。説明がやや冗長的で、実験結果の数値が細かく出ているわけではないのですが、それを引き換えにしても非常に興味深い内容です。意思決定をするうえで参考になる書籍に間違いはありません

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