私は短編小説がすごく好きです
というと、「いやいや、ということは長編小説よりも好きってことなのね?」と言われそうな気がしますが、これは重要なご指摘です
ただの八方美人みたいになってしまいますが、正直に言えば自分でもよく分かりません
ものすごくいい短編小説を読んだら、その鮮やかさに唸ってしまい、その作品がこの世の宝のように思えます
一方で、クオリティの高い長編小説を読むと、自分の今までの考えが変わるような、実生活に影響が出るほどの衝撃が残ります
要するに両方好きなのですが、私が本日申したいのは、世の短編小説への評価が低いのではないかということです
その前に短編とは何でしょうか。イメージ的には原稿用紙にして100枚以下という気がしています
個人的には芥川賞は短編小説とは呼びません。許されるかは分かりませんが、あれは中編と呼びたい分量です
なぜ私が短編小説が軽んじられていると思っているかと言いますと、めぼしい新人賞が存在していないからです
もちろん、例外的に『オール讀物新人賞』などありますが、こちらは現在では歴史小説に特化されてしまったそうです
強いて言えば群像新人文学賞は70枚以上250枚以内なので、短編も受け付けていると言えるかもしれません
が、受賞作の枚数を見てみると、100枚以下で受賞した作品はおそらくありません(すみません。全て調べたわけではなく私が調べた限りでは、なので間違っている可能性はあります)
少なくとも、短編向きの新人賞ではありません
ちなみに私はこれまで群像新人文学賞に応募して、一次予選を3度、二次予選を2度、三次予選1度、最終候補が1度の経験がありますので、参考までに作品の応募枚数をまとめてみました
ちなみに順不同で、全て20XX年代の結果です
一次予選通過:130枚
一次予選通過:159枚
一次予選通過:201枚
二次予選通過:143枚
二次予選通過:125枚
三次予選通過:174枚
最終候補:208枚
ちなみに、一次も通らなかったこともあります。二回ありますが、144枚と157枚でした
この結果から何か断定できるわけではありませんが、長い方が通りやすい傾向があるような気がします
逆にいえば、この賞は短編では厳しそうな気がしてしまいます
今の私の実力では70枚くらいの小説を何度書いて出しても通らなそうですが、200枚くらいであれば、予選通過できる可能性はそれなりに高いと言えるかもしれません(予選通過できない可能性も多いにありますが)
そういう状況を見ると、例えばとてつもなく力量のある短編作家がいたとしても、そういう方を発掘する仕組みは、現在の日本にはありません
短編小説でデビューしても商業的に儲けるのは難しいという判断が出版社にはあるのでしょう
というのも、書籍にするためには一定の枚数が必要ですし、ただですら売れない文芸なのに、短編小説になるとますます売れないという、懐事情があるのでしょう
とはいえ、皆さんも経験がおありだと思いますが、初めに書く小説というのはそれほど長いものではないのではないでしょうか
そして、いくつか書いているうちに、少しずつ長さを伴うようなものが書けるようになるように思います
よって、新人賞の登竜門としては、短編小説のための権威ある賞というのが、確実に必要です
短編小説の権威ある賞の創設は、この国の文学を底上げして、活気を取り戻すという意味でも、非常に重要なことだと思われます
そして、昨今はブログなどでさっと文字を読む土壌が出来ており、現代においては長編小説より短編小説の方が、適性があるかもしれません
もし、どなたか出版社の人でこの記事をお読みになることがあれば、ご一考いただけるとありがたいです
その時は私も参戦させていただきますけれども(いやいや、その頃にはデビューしていたいものですが・・・)
私が思う短編小説の最高傑作はこの本です。以前、このブログでも紹介させていただいたことがあるので、ご参考まで、、、