本日3月21日に緊急事態宣言が解除されましたが、皆様はどこかにお出かけになられますでしょうか
月曜ですし天気が芳しくない地域もあるようなので、通勤電車が混むようになるくらいで、多くの人は何の変化もないのかもしれません
昨日のニュースでは「1都3県の人出 宣言発出直後と比べ大幅増」とあったので、久しぶりにちょっとしたお出かけをした方は多かったのかもしれません
感染者数はご存じの通り下げ止まっているので、緊急時代宣言が解除されると、論理的には感染者は増えることになるでしょう
予想を裏切る可能性があるとしたら、温かい季節へ移行することによるウィルスの減少や、ワクチンによる抑制などかもしれません
ですが、あまり過度な期待はしない方がいいでしょう。個々人が注意しながら生きていくことが前提となります
ところで、このコロナの状況で、今後の文学はどうなっていくのでしょうか
文学というのは、時事とじゃっかんのタイムラグがあります
時事のスピードでは、メディア別でいうと下記のような順番になるかもしれません
ネッ ト => テレビ => ラジオ => 新聞 => 書籍
しかも、このネットから新聞までのスピードと、新聞と本の差はとてつもなく大きいです
【おおよそ24時間以内】
- ネッ ト
- テレビ
- ラジオ
- 新聞
【数か月から数年】
- 書籍
新聞でもおおよそ24時間以内であるのに対して、本は数か月や長い場合は数年後というケースがあります
これで即断的に、本という媒体はやはり時代遅れだというわけにはいきません
個人的には、ネットもテレビも新聞も(ラジオは聞いておらず)どのような論調で報道のされるのかはだいたい分かりました
一年ほど見てきているので・・・
一方で、まだ末永く読まれるような書籍はないように思います(ニュース的な扱いの雑誌や書籍はあいくつも出版されていますが)
おそらく現代の作家たちは水面下で、じっくりと思考を重ねていると思います
かつて地下鉄サリン事件というものがありましたが、当時ネットはなかったものの、あの事件のことを本当の意味で後世に残したものといえば、おそらく『アンダーグラウンド』が代表的な作品になるでしょう
とてつもなく太い本ですが、非常に興味深い作品です
この書籍というものはあらゆるメディアの中でも、遅く発信せざるをえないという形式だからこそ、丁寧に状況を示したり分析を深くすることが可能で、それによって後世に残りやすい作品に仕上がるのだと考えます
なんというのでしょう。書籍はタイムラグがある分、他の媒体よりも落ち着いているのです
おそらく、これから生まれてくる人たちが、サリン事件の映像を見ると状況は分かっても、世の中の雰囲気は分からないように思いますが、『アンダーグラウンド』を読めば、私たちの感覚にかなり近い気持ちを彼らの中に再現できるでしょう
このコロナの状況の中で、あまり文学者の意見を聞く機会はありません。彼らは軽はずみで喋ったりはしないのかもしれません
発言の機会は作品の中にあるので
彼らはこのコロナというものは人類にとって何なのかということを考えているはずです
今はコロナの真っただ中なので、作品を完了することはできないはずです
そして、このコロナ以降ではこれまでと書くことが大幅に変わってくるでしょう
当然のことながら、「何気ない日常の中で僕が/私が感じていた違和感」といったような小説を今まで通り書くのはためらわれるでしょう
コロナはそういったものを簡単に吹き飛ばしてしまいました
今この壮絶な状況の中で、私たちの胸中にあるものが何なのか、私も含めて多くの人が良く分かっていないはずです
ですが、「そう、そういうことを思っていたんだ、言いたかったんだ、そういう状況だったんだ」と我々が理解するには、どのように伝えたらよいかということを、現代作家たちは考えているように思います
そして、それなりの時間は要すると思いますが、いつか日の目を見て書店に並べられると信じています
考えてみれば、前に人類を襲ったパンデミックを後世まで残したのも、あの大作家でした
最近では、『ペスト(新潮文庫)』も非常に売れているそうですね
そして、私もアマチュアとはいえ、作家の端くれの端くれくらいに思っているので、このコロナというものを、いつかきちんと表現したいと思います
私は下記も素晴らしい著作だと思っています。賛否両論ある作家かもしれませんが、こういった偉業を残してくれています