以前、私は新潮新人賞と群像新人文学賞の最終候補に残ったことがある、とお伝えしたと思います
もしかしたら、参考のためにどんな感じだったのか、知りたい人がおられるかもしれません
ただし、あまり内情をお伝えすることはよくなさそうな気もするので、固有名詞のような形は控えるようにします
まず、最終候補に残ったら突然電話がかかってくるか、ですが、これは事実です
両方とも、それほど暗くなる前のオフィスにいた時、電話がかかってきました
共通点は平日の午後ですが、たまたまだとは思います。これは賞によっても違うでしょうし、担当者によっても異なると思います
次に、きちんと読んだ感想を伝えてくれます。とはいっても、担当者の方が一番よいと感じたから最終候補に推してくれているので、ここではあまり悪いことは言われないはずです。どちらかと言えば、お客様的な扱いを受けている感じに近いです
とはいえ、ここを直しましょう、、、という話ももちろん続きます。遠まわしですが、こうしたらもっと良くなるというアドバイスもくれます
だいたい最終候補というのは、3ー5作くらいなのですが、基本的には出版社の担当者一人が一作を担当しているようです
なので、自分が選んだ作品で受賞作を出したいと思ってくれるので、それなりに必死に指導してくださいます
当時は、コロナ前だったので「まずは一度お会いしましょう」ということで、出版社にお邪魔することにしました。これは出版社に行かなくてもいいようです。仕事で忙しい方であれば、指定した場所に出版社の方が来てくれます
私の場合は出版社に行ってみたかったので、おうかがいすることにしました
そこで、出版社の方は、私が応募した原稿を持ってきて、色々とペンを入れてくれたり、口頭でアドバイスをくれたりします
この時は、結構感動するものです
出した原稿とは永遠のお別れになることが多い中で、自作に再会できるのですから(まあ、些細な感動ですが。。。)
ちなみに、出版社の人の指摘は非常に的確です
自分は作者ですし、必死になって書いたものなので、指摘されたことを素直に受け入れたくないこともありますが、彼らはさすがプロです。作者の尊厳を守りつつ、きちんと言うべきことは言ってくれます
ただし、抜本的な書き直しを依頼してくることはなさそうです
最終候補に選出された良さが壊されたらまずい、ということもあるのかもしれません
誤字脱字の指摘や、この描写はもっと手厚く、ですとか、内容の整合性が取れていない、など、基本的なことを指導してくれます
指摘されたことを修正する時間を二週間くらいもらい、それに向かって手直しをしていきます
あまり時間的な猶予はないですし、指摘された事項の修正、自分で再度読み直して納得いっていなかったことを再考など、結構忙しくなります
ですが、ものすごく嬉しいのです。普段は働いているのでそんなに時間も取れないわけですが、職業作家的な自負に満たされます
「自分の原稿を待ってくれる人がいる」という状況に喜びを感じるのです
出版社からの帰り道、闘志にわきながら自作をどう直そうかと電車に揺られます
今、コロナですから出版社の人と会わないで、メールのやりとりなどになっているのでしょうか
だとしたら、少し不憫に思います
有名な出版社に入館して、文芸誌の人と自作について会話をする、そんな経験を忘れることはできません
今は電話会議になのかもしれませんが、やはり受賞を目指している出版社に実際入ってみたいというのが、応募者の心境だと思います
本日はここまでで、次回に続けたいと思います
数ある文章読本の中でも、個人的にもっとも役に立ったのは、三島由紀夫のものでした。ですが、かなり前に読んだので内容はほとんど忘れています。久々に再読しなければ・・・