私は一度読んだ本はあまり再読をしません
とはいえ、稀に何度も読んでしまう貴重な作家がいて、その中の一人がモームです
モームの小説は大半読んだことがあるのですが、お気に入りの作品のみ何度も読み返しております
最近、仕事であまり英語を使っていないので、英語の力が錆びついている(?)気がしたので、書棚に置きっぱなしにしてあった、下記の本で本格的に勉強することにしました
また『赤毛』というのがいいではないですか
私も記憶力がよくないので、『赤毛』の内容をほとんど忘れてしまっています
そして、対訳のような形でゆっくりと読み始めました
英文をきちんと味わうことを心がけてみました
冒頭から知らない単語のオンパレードで、辞書がなければほとんど分かりません
ですが、行方先生の直訳と自然訳の二種を読みながら英文に触れてみると、その日本語では読み取れないであろう英語の微妙なニュアンスが感じられます
私は日本人なので、日本語自体が豊かだと言うことをよく分かっていますが、英語には英語の、直接表現しないことで対象を浮かび上がらせる優れた言語性のようなものがあります
そして、日本語の訳文では感じられなかった、英文ならではの一文一文の緊張感みたいなものがありました
英語でも日本語でも同じストーリーとはいえ、原文で読むのと翻訳で読むのは印象が全然違うぞ、、、という恐怖を覚えさせてくれる名著です
ですが、内容が気になり過ぎてしまって、日本語でどんな感じだったかざっくりかくにんしたいと思い、ついつい本棚にある新潮文庫に手を伸ばしてしまいました
訳者は中野好夫大先生です
中野先生もすごく正直で、最初の『雨』は世界的名作で、『赤毛』は会心の作で、『ホノルル』はイマイチだ、というようなことをあとがきでおっしゃっています
(ちなみに、確かに同感です・・・)
私は真っ先に『赤毛』のページを開いてみました
途中でやめるつもりで、どんな感じだったか、さらっと眺めることにしました
私の好きな本ランキングトップ10入りをしているのは『月と六ペンス』なのですが、チャールズ・ストリックランドが南の島へ行った時の情景を一部補うかのような内容になっています
それはいいとして、、、私はこういう短編好きですね
冒頭の船乗りのシーンは何かが始まりそうな予感をさせますし、レッドと言われる美青年の話は非常に感傷的です
そして、相変わらず最後の切れ味の鋭さはとてつもないです
一途に思っていたにも関わらず、全てをひっくり返すようなニールソンの感情を、そこまでひどいとも思えず、何となく気持ちが分かってしまうという、短編としての効果を最大限に発揮しています
やっぱり面白いなぁと思って、本を閉じました
そして、気付きました
勉強中だから途中でやめるつもりだったのに、最後まで読んじゃいました・・・
でも、勉強はこれからも続けていきます
全体を通して理解しておいた方が、英文の時に細部まで読み込めることもありますので!
やはり、モームは面白いです。好きな小説というのは人によって、本当に違うと思いますが、私は長い間ずっと好きな作家です。そしてたくさんの作品を残してくれているので、ローテーションすれば一生読み続けることができます