職業作家への道

自分の文章で生活できるなんて素敵。普通の会社員が全力で小説家を目指します

コミュニケーションの仕方の違い(後編)

 

 

さて、私が今回このような記事を書いているのはなぜかと言いますと、二つあります

 

一つは、かなり昔から私は自分の老後について思いを巡らせてきたからです

 

(という言い方はかっこつけてますね。シンプルに言えば、なんか自分がみっともなくて寂しい老後を送ってしまいそうで、心配でした。というか今も心配です)

 

二つ目は、日本人の初老の男性はあまり幸せそうに私には見えなかったからです

 

外国旅行に行った時、私がいつも感心というか感動してしまうのは、他国の男性の老人というのは、日本とは全く違うところだったりします

 

西洋の男性の場合は、ビールを飲んだりスポーツをしたり、奥さんとのんびり歩いたりと、市内での出現率が高いですし、コミュニケーションの量も女性に負けていないように見えました

 

アジアの場合は、コミュニケーションは少ないものの、一家の主としての威厳を持っていて、それなりの風格を醸し出しています。もしくは、威厳ある労働者としてその姿は市中で多く確認することができました(その労働が低賃金であったとしても、彼らは堂々としているように見えました)

 

もちろん世界の全てを知っているわけではないので、私が見た景色のどれもが、たまたまそう見えただけだったのかもしれません

 

ただ、私は表面上とはいえ諸外国の男性老人を見て、日本のご老人に対して危機感を覚えてしまったのは事実です

 

若者とか日本の未来を杞憂する前に、男性の老人はもっと活き活きと生活をして、老後というものが、いかに素晴らしいものかということを、次の世代に示す必要があるように思います

 

ちなみに私は転職期間中にいろいろな古い建造物をまわっていたのですが、そこで格好の例を見ました

 

江戸時代末期の質屋の建物を見学しているときに、年配の女性がガイドとして近くに来て、その建物の解説をしてくださいました

 

「あら、来てくれてよかった。コロナっていうのもあってね、本当に今日は来てくれる人が少なかったの。午前中に一人で、午後はお兄さんだけ。どうしようかと思っちゃった。この建物ね、面白いのよ。来た人は、寄ろうか迷ったけど、本当に入ってよかったって言ってくれるの。しかもね、お客さんによっては、私なんかより全然詳しくて、私の知らないことを教えてくれたりするの。まあ、私もまだ二年しか働いてないから詳しくないんだけど。例えばね、この前知ったのは、この障子の裏っかわは見えないけど、裏はまた違った模様が描かれているはずだって。そんなことを教えてくれる方がいたの。季節とか来客によってとりはずしたら、模様替えになるからだって。そんなこともお客さんに教わるんだから。あ、そうそうあとこの窓も見ていって欲しいわぁ、、、」

 

などと、放っておいたら、いつまででも話してくれます

 

私もいつまで喋ってくれるのだろうと、本当に忍耐強く待ってみると、、、だんだん疲れてきた彼女は、一通り喋った後に、きちんと「はい、もう終わりよ」と伝えてくるのです

 

自分が老齢になっても、決して真似できないバイタリティを彼女たちからは感じます

 

一方で、別の日に別の場所で、同じく江戸時代後期に立てられた武家の建物に行った時のことです

 

ガイドは初老の男性でした

 

彼はそれほど多くを喋りません(ただし、めちゃくちゃ長くしゃべり続ける初老の男性も確かにいますけが・・・)

 

そして、彼は建物の機能的な話をして、お勧めの冊子が100円で販売されていることを伝えてくれると、あとは好きにしてという感じで、私にフリータイムを作ってくれました

 

どちらがいいというわけではないと思いますし、それぞれがそういう風にしか対応できないのだとは思います

 

ただ、ここまでコミュニケーションのスタイルが異なっているのだと私は少し不思議な気持ちになりました

 

もちろん、今回例に挙げさせていただいた方々が、たまたまそうだっただけなのかもしれません(女性、男性という違いではなく、単なる個人の違いという言い方もできます)

 

寡黙な女性、おしゃべりな男性、その他にも多様な方々が、たくさん存在はしてらっしゃいます

 

ですので、性別で語るのは危険だとは思っておりますが、顕著な違いがあるように感じたので書かせていただきました

 

誰しもがいつかは高齢者になります

 

おじさんの傾向という観点で、愛しい眼差しで老齢の方々を観察しながら、来たるべき日々に向かって、悔いのないように着々と準備しながら近づいていきたいと思うわけです

 

 

日本の老人を書かせたら、谷崎翁の右に出る者などおるまい!と私が興奮気味に言いたくなるほど、この二編は圧巻です。まとめて読むことをお勧めいたします。ですが、KINDLE本で無料のものがあるので、下記にリンクを貼っておきますね

 

 

 

 

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