すみません。少しばたついており、先週の金曜日に更新することができませんでした
楽しみにしてくださっていた方は申し訳ございません
改めて今週もスタートです
日本人の私が、例えばイギリス人を主人公にした小説を書いたとします
イギリス人はそれを読みたがるでしょうか
根拠はありませんが、あまり読みたいとは思われないような気がします
一方で、アメリカ人が日本人が主人公の話を書いて、日本人は読みたがるでしょうか
しかも昭和初期です
もちろん、いろんな人がいるので読みたい人もいるとは思います
(そして、カズオイシグロという稀有な存在もいますしね・・・)
ですが、私は抵抗がありました
日本人の私が、米国人に書かれた昭和初期の水揚げの話を読んでどうするのか、と
ですが、そういった偏見はだいたいいつも間違っているもので、この物語に私は強く心を揺り動かされました
一部の欧米人が、オリエンタリズムを敬愛している部分があるので、この作品はそういった趣味だろうと思っていました
もちろん、『さゆり』も出発点はそうだったかもしれませんが、この物語は想像を超えます
作者名を伏せていたら、間違いなく昭和初期の日本人作家のものだとしか思えないでしょう
この本が全米でベストセラーになっていたことは何となく知っていたので、そういうこともあって敬遠していました
そして外国人が書いた芸者の世界、、、自ら進んで手に取る気持ちにはなりません
では、なぜ読むようになったのかと言いますと、それは小川高義の名前があったからです
ご存じの通り、小川高義は『停電の夜に (新潮文庫)』で素晴らしい翻訳をされていました
私は『停電の夜に (新潮文庫)』の原文である『Interpreter of Maladies (English Edition)』も読んでおりますが、日本語は感心するような名訳でした
古本で文庫で、値段も安かったので『さゆり』を上下セットで買うことにしました
たまに長い物語を読みたくなることがあるのです
長い物語というのは、読む前に少し覚悟が必要です
なので、ぱらぱらとめくりながら、いつ読もうかなと考えていたのですが、いきなり首根っこをつかまれてしまい、思わず読み始めてしまったのです
そこからはもう一気でした
素晴らしい小説でよく起きますが、まさしく登場人物と同じ地平に立ち、目の前のすぐそばで物語が展開されていくような、鮮やかな錯覚に陥ります
読後は何もする気になれませんでした
映画化もされているようですが、本の読後感を上書きしたくないので、しばらくは見ないことにします
これも絶版ですか。。。ちょっと信じられません。せめてKindleにしてもいいのではないでしょうか。でも、ご安心ください。中古は格安で売っております!!!
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