これは台湾の話です
それほど昔の話ではないですが、かなり厳しい幼少時代を送った方の自伝です
彼は乞食ゆえに犬のエサや道に落ちているものを食べていました
乞食というのは、なかなかタフな暮らしで、ただですら少ない金までも他の乞食にむしり取られています
物乞いに行っても当然のことながら無下にあしらわれてしまいます
そういった描写だけでも悲惨なのですが、この人の苦難ははまだまだ続きます
母親が知的障害者なのです。なので、母の月に一度のものなどは彼が処理をせざるをえません
彼には弟たちがいるのですが、その中にも知的障害者がいるため弟の面倒も見ていました
仮にこの本が悲惨な状況を羅列するだけでしたら、私はこの本をご紹介する気分にはなれなかったと思います
この主人公は不屈の闘志を持っているのです
彼はある年から学校へ行かしてもらえることになりました
朝は学校で授業を受け夕方家に帰ってからは洗濯や掃除に食事の準備
その後は目の見えない父を連れて物乞いに出かけます
帰ってくるのは早朝です
数時間眠りまた同じように学校へ行かなければなりません
そして彼は学年で一番の成績をとるようになるのです
だがまたしても悲劇に襲われます
長男には唯一頼りになる姉がいるのだがこの姉とも別れることになってしまいます
ある日学校から家に帰ると姉は泣いています
どうしてか理由を聞いても教えてくれません
ただ、ずっと泣いています
何とか教えてくれ、と頼むと姉は明日になれば分かると言います
そして明朝姉と別れる理由を知ることになるのですが・・・
(ネタバレをしないために、あえてこのように書かせいただきました)
この本を読むと、今自分に起きている現実の悩みなどあまりに卑小に見えてきます
私がご紹介したあらすじでは、完全に不幸な話に思われるかもしれませんが、最終的には救われる内容です
ただ一人、姉をのぞいて、なのですが
このコロナ禍で、人々の生活は困窮しつつあります。もしかしたら、この本は多くの人々に勇気を与えてくれる内容かもしれません
お時間があれば、ぜひお読みいただきたい本です