私はあまりホラー小説が得意な方ではありません
怖いのが嫌いというわけではないのですが、何か特殊な気分の時でなくては手に取らないです
数年に一度くらいは、真っ黒なカバーの角川ホラー文庫をチェックしたりすることもあります
かなり前から友人から強く薦められていたのですが、ずっと手の伸びない本がありました
それが表題にある『玩具修理者』です
コロナ前になりますが、仕事の都合で二泊三日で少し遠くへ行く機会があり、たまたま本を持っていなかったので小さな本屋に入ると『玩具修理者』が目にとまりました
こんな時でなくては読まないから・・・、と購入して読み始めたのです
結論からいえばすごく面白かったです
あらすじについては、触れないでおきますが、Amazonなどでご覧ください
この本を読み終わった後、この人の他の著作も次々と買いました
どうもこの著者には人に何かを恐れさせる能力があるように思います
ただ単に恐いというホラー性だけではない気がしました
人間の生存を脅かすというか、暗闇の中で何も触れる部分がないような不安感を与えてきます
そういう意味では、貴志祐介と同じ才覚の持ち主なのかもしれません
結末の締め方も鋭く尖っていて、しっかりと伏線が張ってあるため最後で白けさせることもありません
表題作が有名ですが、その他の短編も巧く作られています
ここまで上手に書く人もなかなかいないと感心して、友人の薦めをもっと早くに受け入れるべきだったと、新幹線の中で思ったのでした・・・
この作家さんはたくさんの著作を出しています。もし、これを機会にお気に入りの作家になったら、しばらく読む本に困ることはなくなるわけです。そういう発見ができた時は人生のヨロコビと言っても過言ではないかもしれません