職業作家への道

自分の文章で生活できるなんて素敵。普通の会社員が全力で小説家を目指します

『駱駝祥子―らくだのシアンツ』老舎

 

 

少し大げさな言い方になってしまいますが、もし文学に何らかの使命があるとして、それが何かと問われたらうまく答えることができそうにありません

 

ですが、その使命を果たしている作品を一つだけ挙げてみなさいと言われたら、私はすぐに答えることができます

 

『駱駝祥子―らくだのシアンツ』という作品です

 

この本の背表紙を見て、タイトルのみで買われる人はほとんどいないでしょう

 

かつ近代中国の作品はあまり面白くないと思う方もいらっしゃるかもしれません

 

そのせいもあってか、この本はすでに絶版になっているようです

 

このまま、こういう作品がもし消えていったとしたら、それはあまりに悲しいことです


これほど優れた書物を読まないのは、素晴らしい人間に出会い損ねたと同じくらい大きな損失だと言っても過言ではありません

 

とはいえ、何も私がこんなに大げさに手を振ってこの本をアピールする意味もないのですが・・・

 

それでもお勧めしてしまうほどに『駱駝祥子―らくだのシアンツ』は破格です

 

ストーリーは単純です


祥子(シアンツ)は希望を持って都会へ出てきました

 

自前の車の車引きになるために必死で働きます


車夫として体一つで働くが、内戦に巻き込まれたり車を奪われたり、と災難が起こります

 

ですが、あらすじの説明をしても、誰の心も打たないと思います


軽妙な語り口の中に重量感のある展開が待っています

 

私が説明すればするほど、なんだか皆さんの興味をそいでしまうような気がしてしまいました

 

私には中国人の知り合いがいるのですが、老舎の本で感銘を受けたことを伝えたら、中国国内では『四世同堂』が最高傑作という位置づけになっていると言われました


読みたい。何としてでも読みたい、と思いましたが、日本ではほとんど入手不可能のようです。そもそも日本語訳されているのかもよく分かりません


どうしても読みたければ中国語を学ぶしかないのでしょうか


一作だけでそこまで思わせてくれた老舎。ただ者ではありません

 

ちなみにこの本を読んだのは数年前です


つまり読了直後の感動だけで言っているわけではございません

 

老舎の本が歴史から消えないことを心から願います

 

駱駝祥子―らくだのシアンツ (岩波文庫)

駱駝祥子―らくだのシアンツ (岩波文庫)

  • 作者:老 舎
  • 発売日: 1980/12/16
  • メディア: 文庫
 

 

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