職業作家への道

自分の文章で生活できるなんて素敵。普通の会社員が全力で小説家を目指します

『フェルマーの最終定理』 サイモン・シン

 

 

大人になってから、数学ではなく算数と呼ぶことが私は多くなりました。それはどうでもいいとして、算数の時からすでに数字という概念が嫌いな人は多くいらっしゃいます

 

文学と数学というのは、あまり相性がよくないような気もします

 

だから「『フェルマーの最終定理』が面白いですよ!」と私が紹介しても、「いやいや、勘弁して。なんでせっかくの楽しい読書を苦痛にしなきゃいけないのよ」と嫌がられることは目に浮かびます

 

ですので無理強いはしませんが、一言だけ申し上げると、これはそういう本ではありません、、、ということです

 

算数が嫌いでも、もしかしたらフェルマーの最終定理を授業で聞いたことをうっすら覚えている人もいるかもしれません

 

いまだに解かれていない数学の問題があるんだ、と

 

「3以上の自然数nに対してXn+Yn=Znを満たすような自然数X、Y、Zはない」

 

これが17世紀にフェルマーの残した命題でした

 

世界各国の数学者はこの問題を解くべくして躍起になりました。各国の数学者というのは、本当に凡人では想像もつかないような天才たちです

 

彼らがたばになっても、数百年もの間、解くことができませんでした

 

ですが、300年後の現代、ようやく一人の男が解くことになります

 

つまり、これは数学というか算数の話ではなくて、歴史ロマンの話がここにはたくさん書かれてある、ということです

 

それでも多くの人はこの本を手に取らないかもしれません

 

ちなみに私がなぜこの本を買ってみたかといえば、この本は新潮社が出していたことと、海外の最新小説を紹介するムックに載っていたことからタイトルを覚えていたからです

 

ぱらぱらと眺めると自分でも読めそうな気がして買いました(私も数学は得意ではありません・・・)

 

すると、分かりやすいので丁寧に読んでいけば数学の話も理解できます。そもそも数学とはかくも面白いものなのかと新しい自分に目覚めたのです


ですが、この本の真骨頂は数学の面白さではなく、大河ドラマのような歴史の壮大さでした

 

この著者であるサイモン・シンという人はただ者ではないと感じました

 

海外のジャーナリストとはこれほどレベルの高いものなのか、と脱帽です


彼はこの書を書くためにそうとう数学の勉強をしたでしょう


読者が理解できる範囲で、話を進めようとしてくれます


一つの王朝の盛衰を書くように、フェルマーの定理にまつわる話が展開されていて、脱帽です


この壮大な話を力技で書ききる作家が日本にいるのか、と私が考える必要がないことまで頭をかすめました

 

ちなみに小川洋子の『博士の愛した数式』もこの本に影響されたといいます。これは第一回本屋大賞を受賞しています

 

サイモン・シンは他にも幾つか作品も出しています。他の作品はこれに比べてやや難解ですが、集中して読めば劣らぬ内容だと分かります

 

フェルマーの最終定理(新潮文庫)

フェルマーの最終定理(新潮文庫)

 

 

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