予選通過のポイントとしては、なぜ自分が小説を書いているのかに踏み込んでいく必要があります
「自分が持っている世界への違和感」というのはおそらく誰でも持っています
もちろん、人によってどの部分に焦点を当てるかは違いますが、それにしても誰かが通った道ですし、同時代にもゴマンと同じことを感じている人がいます
その自分というものにフォーカスしてしまうと、おそらく他の応募者と横並びになってしまいます
つまり、これが異化というものにつながると思います
同じことを感じて表現するとしても、何気ないキャンパスライフを舞台に書くのと、落ちてくる人間をバットで打ち返す職業を書くのでは、全く伝わり方が違います
結果として、同じものが伝わるとしたら、おそらく後者の方が伝わる強度としては高いですし、長い期間記憶に残りやすいと思います
「よし、分かった。だったらむちゃくちゃやればいいんだ」とおっしゃる方もいるかもしれません
言い過ぎかもしれませんが、半分は正解だと思います
自分が感じている違和感を、別の例で際限なく肥大化させていくという作業をすれば、インパクトというのは出てくるのかもしれません
おそらく『オブ・ザ・ベースボール』もそういう作業から捻出された設定ではないかと考えます
ただし、どの世界もそうだと思いますが、やりすぎは禁物です
読者からしても、「この人、ただ無茶してるだけだな」と思われたら終わりなので、やはりバランスというものが必要になります
そこから先に必要になってくるのが、細部まで書き込まれたリアリティだと思います
筋だけでは信じがたい話も、読みふけって本の中に埋没することで本当に感じてしまう、という現象を支えているのが、きちんと書かれた細部なのかもしれません
長くなってしまいましたが、ここまでの内容をふまえた予選通過のポイントとしてはこの二つだと思います
インパクト
細部
もっと具体的に書いていくこともできるのかもしれませんが、個々には潜在能力があると私は信じています
ですので、今お持ちのものが消えてしまうことを恐れているので、乱暴かもしれませんがあえて、このように記載させていただきました
前にも紹介させていただきましたが、異化をきちんと学べる最良の書といえば、私はこれを強くお勧めしたいと思います
とにかくこの二つを意識して、徹底的に考えていくことで、予選通過には近づくと私は信じています
では、受賞するにはどうしたらいいんだと聞かれても、私もしたことがないので分かりません
ただ、最終候補には残ったことがあります。新潮新人賞と群像新人文学賞です
その時の話はまた別途ご紹介させていただきます