谷崎潤一郎の『卍』を読みました
おそらくは人間模様が入り組んでいることからこのタイトルにしたのだと思われます
この著者をなんと形容したらいいのでしょう
正常ではないという意味での変態にも思えますし、文学史上の怪物としても尊敬できます
この話は、関西弁での告白体で進んでいきます
関西弁に抵抗のある人にはもしかしたら読みにくいかもしれません
谷崎はある時期から関西の言葉に興味を覚えるようになったと言います
関西人でもないのにここまで書けるのは見事なものです(が、、、一説によるとやはり間違った文法もあるとのことです。。。)
園子という女が作家に語りかけるという設定で最後まで進みます
園子には夫がいるのですが、学校で知り合いになった女、光子と関係を持つことになります
ですが、ある事件をきっかけに光子と交際している男がいることが発覚します
それから園子は光子と会うことをやめるのですが、光子の真摯な演技を見て元に戻ってしまう
だが、光子と交際している男が園子におかしなことを言うようになります
光子とは全く違うことを話し始めるのです
おかしいのは光子なのか、相手の男なのか
読者も混乱させられ、物語に巻き込まれます
読後、あらためて『卍』というタイトルにも頷けるような気がしました
それにしてもこの谷崎という作家は読者をやきもきさせるのが上手です
読んでいて苛々する人もいるらしいが、私にはそこがたまりません
この人は一体どんな人だったのでしょうか
作品から、その人に興味を覚えることが往々にしてありますが、この作者の作品にはそういうところがあります
それにしても、この作者にとてつもない敬意を覚える私は、それなりの性癖があると考えざるをえないのでしょうか。。。
ちなみに、Kindle版は無料なので、Kindleを読む環境がある方はそちらの方がいいと思います
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Kindleは専用の端末を持っていなくても、タブレットやスマートフォンを持っていれば、読むことができます
iPadでもiPhoneでも、Androidの中華タブレット、中華スマホでも読むことができます
Kindleというアプリをダウンロードして、Kindleアプリ上で”卍 Kindle版”と入れれば、青空文庫のおかげで無料で読むことができます
その他にも谷崎の小説は、ここ数年で著作権が切れたようで、現在ではたくさん読むことできます
とてもいい時代です!