その後、日々は妄想で膨らんでいきます
まだ百人近く残っているにもかかわらず、デビューしたらどのタイミングで会社に言ってやめればいいか、などを頭が勝手に考え始めていました
仕事も手を抜かずにがんばっていましたが、やはりふと我に返ると結果が気になって仕方がありません
日々はそわそわ流れていき、翌月の『すばる』発売日が楽しみで仕方がありません
何に関しても上の空の状態が二週間ほど続き、翌月の発売日がきました
その日は会社が終わるのが待ち遠しくて仕方ありませんでした
しかも謎のゲン担ぎを私はしていて、前月と同じ本屋で確認することにしました
ご存知の方もいるかもしれませんが、すばる文学賞は二次と三次は同時に発表されます
名前が載っていれば二次選考通過です
その名前が太字であれば三次選考通過となります
目次で該当のページを確認します
心臓を高鳴らせながら、私はページを開きました
前回は両面にずらっと書かれていた名前ですが、今回は半ページ程度にしか名前の記載がありません
もし自分の名前が載っていれば、前回同様すぐ目に入ってくると思ったのですが、そうはなりませんでした
仕方ありません
一つずつじっくり名前を眺めていきます
すると、私の名前があったのです
しかも太字でした
一次選考通過だけでも飛び上がるほど嬉しかったのに、三次選考まで通過しているのです
陳腐な表現ですが、本当に夢みたいでした
私はまた同じように違う冊子を手にとり確認しましたが、私の名前は依然として太字でした
そして、残っているのはあと十人程度になっていたのです