職業作家への道

自分の文章で生活できるなんて素敵。普通の会社員が全力で小説家を目指します

初めての予選通過(すばる文学賞)-中編-

 

 

その後、日々は妄想で膨らんでいきます

 

まだ百人近く残っているにもかかわらず、デビューしたらどのタイミングで会社に言ってやめればいいか、などを頭が勝手に考え始めていました

 

仕事も手を抜かずにがんばっていましたが、やはりふと我に返ると結果が気になって仕方がありません

 

日々はそわそわ流れていき、翌月の『すばる』発売日が楽しみで仕方がありません

 

何に関しても上の空の状態が二週間ほど続き、翌月の発売日がきました

 

その日は会社が終わるのが待ち遠しくて仕方ありませんでした

 

しかも謎のゲン担ぎを私はしていて、前月と同じ本屋で確認することにしました

 

ご存知の方もいるかもしれませんが、すばる文学賞は二次と三次は同時に発表されます

 

名前が載っていれば二次選考通過です

 

その名前が太字であれば三次選考通過となります

 

目次で該当のページを確認します

 

心臓を高鳴らせながら、私はページを開きました

 

前回は両面にずらっと書かれていた名前ですが、今回は半ページ程度にしか名前の記載がありません

 

もし自分の名前が載っていれば、前回同様すぐ目に入ってくると思ったのですが、そうはなりませんでした

 

仕方ありません

 

一つずつじっくり名前を眺めていきます

 

すると、私の名前があったのです

 

しかも太字でした

 

一次選考通過だけでも飛び上がるほど嬉しかったのに、三次選考まで通過しているのです

 

陳腐な表現ですが、本当に夢みたいでした

 

私はまた同じように違う冊子を手にとり確認しましたが、私の名前は依然として太字でした

 

そして、残っているのはあと十人程度になっていたのです

 

 

すばる2020年8月号

すばる2020年8月号

  • 発売日: 2020/07/06
  • メディア: 雑誌
 

 

プライバシーポリシー