職業作家への道

自分の文章で生活できるなんて素敵。普通の会社員が全力で小説家を目指します

本の感想

『わたしたちが孤児だったころ』カズオ・イシグロ

外国文学が好きなこともあって、カズオ・イシグロについては、ノーベル賞をとるよりかなり早い段階からその存在を知っておりました 今はハヤカワepi文庫で当たり前のように出ていますが、『遠い山なみの光』からの一連の作品はかつて中公文庫から出ていまし…

『ゴッドファーザー2&3』映画

先日、ゴッドファーザーを全て見終わりました 最高傑作は1だとか2だとかいろいろな意見があるようですが、私は1も2も3も、どれも好きでした 全てが揃って完結するという感じもしましたので、1から3まで全て見た方がいいと思います 誰しもが分かってい…

『予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』ダン アリエリー(後編)

さて、またまた続きです ちなみに6章はかなり性的な実験なので、今回は省きますがきわめて興味深い内容でした 性的なことというよりは、人というのはやはり興奮状態だと冷静でまともな判断ができないということなのかもしれません 【7章】 教授が学生に三…

『予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』ダン アリエリー(中編)

前回からの続きです 【3章】 あなたはどちらを選びますか?考えずに瞬時に答えてください ①無料で1000円分のアマゾンギフト券をもらう ②700円払って2000円分のアマゾンギフト券をもらう いかがでしたでしょうか。①を選んでしまった方もいるので…

『予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』ダン アリエリー(前編)

今回ご紹介する本は、いささかネタバレになります ですので、今読んでいる方、これから読もうとしている方、今後読む可能性がある方は、ご注意いただければと思います この本については、タイトル通りなのですが、いくつかの仮定から実験をして、「合理的に…

『都市伝説セピア』朱川湊人

人は短編集をどれくらいのペースで読んでいるのでしょうか そして、一冊にいくつも入っている短篇を、一日で一気に読むのでしょうか それとも、一つだけ読んだら後は後日にまわすのでしょうか 後日にまわされた短編小説たちはきちんと読んでもらえるのでしょ…

『ゴッドファーザー』映画

久しぶりに映画を見ました 普段はあまり見ないのですが、一か月ほどAmazon Primeに登録することにしたので、何かしら見てみることにしたのです 『ゴッドファーザー』です もちろん、この映画タイトルにしても、流れる曲にしてもほとんど知らない人はいないく…

『アドルフに告ぐ』手塚治虫

私はあまり漫画を読まないのですが、嫌いだからではありません あまり漫画のことを知らないので、本屋さんに行っても何を読んでいいか分からないという状態になってしまいます とはいえ、日本という国は本当に漫画大国のようで、自国にすぐれた漫画が身近に…

『さゆり』アーサー ゴールデン

すみません。少しばたついており、先週の金曜日に更新することができませんでした 楽しみにしてくださっていた方は申し訳ございません 改めて今週もスタートです 日本人の私が、例えばイギリス人を主人公にした小説を書いたとします イギリス人はそれを読み…

『袋小路の男』絲山秋子

このブログではあまり日本人の女性の作家は紹介しないな、、、と思われている方がいらっしゃるかもしれません 確かに私の読書は少し男性作家の方に偏っているようです。バランスのよい読書を心がけようとは思っておりますが あくまで憶測ですが、読者という…

『失われゆく仕事の図鑑』永井良和他(後編)

長くなっておりますが、いよいよ最終回です。気になったところをピックアップしております 貸本屋 このブログでこの仕事を採用しないわけにはいきません こちらの記憶は確かなのですが、私は幼少の頃に関西の親戚のところへ行った時、一度だけ利用したことが…

『失われゆく仕事の図鑑』永井良和他(中編)

前回からの続きです。この本で紹介されているものをいくつかピックアップしております 傷痍軍人 戦地で負傷した人が路上で施しをもらうことがありました この本でアコーディオンを弾いている写真がありました 私のそうとうおぼろげな記憶では、かなりの幼少…

『失われゆく仕事の図鑑』永井良和他(前編)

現代というのは便利ですが、あまり面白みはないかもしれません おそらくそれは製品やサービスがグローバル化によって、あらゆるものが画一化されたということがあります 数十年くらい前までは、地域差というものが大いにありました 地方によって、自動販売機…

『戦争の悲しみ』バオ・ニン

私は比較的、東南アジア文学を紹介させていただいていますが、その中でもまさしく最高峰と言っていいのはこの本だと思います 確かインドの大学教授だったと思うのですが、日本に反戦文学が生まれないことを嘆いていた記事を読んだことがあります ちょっとそ…

『詭弁論理学』野崎昭弘

皆さまは、新書を読まれますでしょうか そうです。あの縦に細長い、背表紙で文庫の隣りあたりにある一連の書籍です(たまにものすごく分厚いものもあります) 少し堅苦しい内容のものが多いですが、読んでみれば面白いものがたくさんあります ちなみに結構昔…

『シルクロード・路上の900日―西安・ローマ1万2000キロを歩く』大村一朗

私は紀行文が好きなのですが、この本はなかなかとてつもないです 西安からローマまではの距離は1万2千キロとのことです それだけ聞いても、普通の人はふうんとしか思わないかもしれません ですが、この道を徒歩のみで踏破した日本人がいると聞いたらいかがで…

『ワンダー Wonder』R・J・パラシオ

周りから強く勧められる本というものがありますが、表題の著作はまさしくそういうケースで読むことになりました 主人公のオーガストはふつうの男の子なのですが、顔に障害があります とはいっても、多くの人があまり見たことがないくらい、顔の構成が異なっ…

『痴人の愛』谷崎潤一郎

最初に読んだ文学の記憶を皆さんはお持ちでしょうか 私の場合は両親の本棚にあった武者小路実篤の『棘まで美し』でした 中学生の時に何か両親に怒られて、嫌になって自室にこもった時にあまりに暇だから、隣の納戸にあった両親の書庫から適当に本を引っ張り…

『ロシアとソ連邦』外川継男

突然こんなことを言ってしまうと怒られるかもしれませんが、講談社学術文庫は非常にためになるものの、内容が難解すぎて読み切るのが難しいものも多いです 文庫なのに学術と名付けられたその宿命からも、やむをえないのかもしれません。あくまで学術なのです…

『乞食の子』頼東進

これは台湾の話です それほど昔の話ではないですが、かなり厳しい幼少時代を送った方の自伝です 彼は乞食ゆえに犬のエサや道に落ちているものを食べていました 乞食というのは、なかなかタフな暮らしで、ただですら少ない金までも他の乞食にむしり取られてい…

『7年ごとの記録 35歳になりました』を見ました

先日放送された『7年ごとの記録 35歳になりました』を見たので、感想を書いてみたいと思います 録画をしていたので何度か繰り返して見ました 私が気になっていた北方領土出身の祖父を持つ女性も無事に35歳になっていました 話すのがあまり得意ではない…

『停電の夜に』ジュンパ・ラヒリ

現代で有名な作家だからといって、後世に歴史を残すとは限らないようです 現に、近代ヨーロッパにはたくさんの有名作家が現在も名を残していますが、当時はもっと人気の作家がいた、なんて話をよく聞きます 後世に名を残すか否かは、その時代のと人気と比例…

『インモラル・アンリアル―現代タイ文学 ウィン・リョウワーリン短編集』

実験小説や前衛小説という言葉はよく聞きます では実験的な小説を一つでも挙げろと言われたら、皆さんはどのようにお答えされますでしょうか なかなか、難儀ではありませんか 例えば帯にそう書いてあったとしても何を実験したのやらとよく分からないことがあ…

『おもかげ』浅田次郎

このブログでご紹介している書籍は、私が本当に面白いと思ったもののみ紹介させていただいております ですので、あまり楽しめなかったものや、私の頭がついていけず理解できかったものは、ご紹介しないようにしています (そもそも、本の感想というのは、あ…

『質屋の女房』安岡章太郎

突然ですが、さて問題です。これは一体なんでしょう ○夜十二時をすぎると、日本橋もしずかになる。 ○月に一度私は、私の居住している神奈川県の県庁所在地である横浜の役所に、金をもらいに行くことになっている。 ○いったい何がおもしろくて、あの人はあん…

『駱駝祥子―らくだのシアンツ』老舎

少し大げさな言い方になってしまいますが、もし文学に何らかの使命があるとして、それが何かと問われたらうまく答えることができそうにありません ですが、その使命を果たしている作品を一つだけ挙げてみなさいと言われたら、私はすぐに答えることができます…

『ミャンマーの柳生一族』高野秀行

このブログは少し真面目な感じになっているかもしれませんが、それは私がよく見られたがっているというか、やや気取っているためであり、本当はくだけた本も大好きです 例えば、高野秀行の旅行記は気に入っております 最初に読んだ時はとてつもない旅行記を…

『九龍城探訪 魔窟で暮らす人々 -City of Darkness-』

九龍城という名前は聞いたことがあったのですが、それが何かは知りませんでした ちなみに、九龍城とは香港の高層スラムのことだです ある日、用もないのですが、とある本屋でうろうろしているときに見つけました いつものように、本の背表紙を見ながら各書棚…

『観光』ラッタウット・ラープチャルーンサップ(後編)

前回からの続きです 「観光」 さすが表題作だと私は唸ってしまいました あとがきにも書いていますが、観光をするという意味だけではなく、光を観るという二重の意味で邦訳されたタイトルとのことです 主人公の母親が一二週間後には失明することになり、母を…

『観光』ラッタウット・ラープチャルーンサップ(前編)

先日、新潮クレストブックに似ているということで、ハヤカワepi文庫を紹介させていただきました これらの共通点は、同時代に活躍している世界の有望な作家を紹介するというものです 新潮クレストブックよりも冊数は少ないものの、ハヤカワepi文庫も非常にク…

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